屋久島(4) – 宮之浦岳

今思えば、無謀だった。

初めて屋久島に行った日、同宿の人たちと話していたら宮之浦岳に登ることになったのだ。
宮之浦岳は標高1935mと、屋久島でもっとも高い山でかつ、九州でも一番高い山だ。

登山の経験などないに等しかった。それに考えてみると不思議なのだけど、屋久島で山に登るなんて考えてなかった。だから、登山用具なんて何一つ持っていなかった。カバンも小さなポーチ一つだけ、靴はスニーカーに毛が生えた程度のものだった。

彼らは一緒にレンタカーに乗って割り勘してくれる人を探していたのだ。そして、僕はまんまとそれに乗ってしまい、次の日の朝は4時過ぎに起床、5時には登り始めるという人生初めての登山に臨むことになった。まぁ、はっきりいって気は進まなかったのだったが。

けれど、何事もやってみなれば自分との適正など分かりはしないものだ。僕にとって、宮之浦岳での登山は、東京に戻ってきてもどこかの山に登りに行くきっかけを与えてくれたものだった。

山道は険しく、狭く、登りは急で、下りは滑りやすかった。何度も滑りそうになって、道を外しそうになったがその度に、掴まることのできる木が助けれくれた(気がした)。「山が遊んでくれてる」と思った。僕を支えてくれたその木が折れたら、怪我をするだろうし、装備を持ってない僕は当然素手だったので、手を怪我していたかもしれない。そう考えると怖いけど、途中見える景色は美しく、水は美味しかったし、石を登るのも楽しかった。

今、思えば無謀だったその登山は、今でも屋久島でもっとも記憶に残る遊びの一つだし、もし機会があればもう一度行きたいと思う場所なのだ。




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